税理士 土井愛子
一年の経つのは早いもので、今年も師走に突入しました。
私たち税理士にとっては、12月から1月の年末調整、2月から3月にかけての確定申告、そして4月から5月は法人の3月決算と半年続く繁忙期の始まりです。
関与先の年末調整に取り掛かる前に、今年も我が家では11月の初旬に主人が会社から持ち帰る年末調整の書類の記入から始まります。
今年、主人がその年末調整の書類を持ち帰った際、会社の同僚との会話で「親の扶養」について尋ねられたとのこと。
その同僚の同居しているお母様は、そこそこの年金を受け取っているので扶養にはできない・・・
詳しく聞くと、お母様の受け取られている年金には亡くなられたお父様の遺族年金が含まれているとのことでした。遺族年金は、所得税の計算では非課税なので、遺族年金以外の
年金所得で扶養になれるかを判断する旨を伝えました。
個人の所得には、“その所得の性質上課税することが適当でないものは非課税とする”と定められています。先の同僚のお母様が受け取られている遺族年金や障害年金、失業保険
など実際に受け取っている収入の中にも税金の計算においては、非課税として所得にカウントされないのもがあります。
ただ、これらの所得税の非課税所得は、社会保険の扶養においては収入として扱われるため、所得税の税金計算上は、”扶養”になれるのに、健康保険の”扶養”にはなれないというケ
ースもあります。
“扶養”と一言で言っても税金の計算上と健康保険とでは、その対象となる収入の内容や金額で取り扱いに差がありますのでご注意ください。