行政書士 川戸恵子
「起業」の本というと,必要な手続きや経理の話,宣伝・ホームページはどうするかなど,どの本も概ね同じような内容になっているかと思います。
私自身も開業する約9年前には数冊買いこみ,情報を得るようにしましたが,今ほど数はなかったように記憶しています。
ここにアップしたものは,むしろ行政書士になって,法人設立手続きに関する業務をお引き受けするために買い求めた本ばかり。いわば参考書のようなものですから,最初から最後まで熟読するというよりも,必要に応じてその個所を読むようにしています。
あまり買うことはありませんが,女性に起業を勧める本もありますね。書店で手に取ってみるのも,私自身は少々気恥しいです。こういう本を買われる女性(男性かもしれませんが)は,いったいどんな方でしょう。自分で何か始めようと思っているのでしょうか。数年前の自分を思い出して,当時の高揚感が戻ってきます。
一方,趣味として読んでいる本の中に,思いがけず「起業する女性」に出会うことがあります。
この本もそうです。
年配の女性が自宅を改装してレストランをしていて(これも起業女子?),定休日には料理教室を開いています。そこの生徒さんを中心に起こる謎をこの女性が解決し,もつれた糸を解きほぐす・・・という軽めのミステリー仕立てです。シリーズもので,3巻ほど出版されています。
私が「起業女子?」と思ったのは,このお店に手伝いに来る若い女性(派遣社員として不動産屋で勤務)です。お料理自体はそう得意ではなさそうですが,アイデアを出し,実行していく行動派。食事だけでなく,ピクルスなどをマルシェで売ったり,宣伝活動に取り組んだり,お店でのイベントを演出したりします。それが自分のしたいことだと気づき,とうとう会社を辞め,正式にお店で働くことを決心する。3巻目では,謎解きの一方で,そんな展開が伏流にありました。
自分が大切にしたいことは何なのか?安定なのか,それとも「これをしたい」「していて楽しい」という気持ちなのか。――読んでいて,起業の原点だなあと思いました。